この年末に、今年一つまらないゲームを遊んでしまいました。IndieWorldなどでも取り上げられ、観測域では少しいいような評判も聞こえていたのでプレイしてみましたが、……という感じでした。つらい。
GOODBYE WORLD
それは、「GOODBYE WORLD」という、11月にSwitchで配信されたアドベンチャーゲームです。
簡単なあらまし
ゲームクリエイターを目指すカニちゃんと熊手は専門学校時代に出会い、二人でゲームを作っていきます。卒業してもその夢を追い求め、二人は就職せずにゲームを作りつづけていますが……
ネタバレ無しの感想
全体的に説明不足
全体的にボリュームが小さいので、話がまったく掘り下げられていません。学生時代のエピソードもほぼなく、卒業後の苦悩の描写もそれほどなく、どこでなんの努力をしているのかもわかりません。
テーマがありきたり
学生時代にゲームを作っていた時と、卒業後プロを目指してゲームを作るのとで、楽しさやつらさに違いがあるのは当たり前です。ゲームクリエイターに限りません。上述の通り説明不足なので、ありきたりだなあという感想で終わってしまいます。
オチ…
ゲームが終わった後、エンドロール後のオチがひどいです。そこまで含めてゲームなのですが、それでいいのかと問いただしたいです。
ネタバレ有りの感想
ここからはネタバレありです。
あらすじ
ゲームクリエイターになるために専門学校に通ってた蟹井は、声をかけてくれた熊手とコンビを組み、ゲーム制作を行なっていきます。このコンビで学生時代はコンテストで優勝したりもします。
卒業後、就職せずにプロを目指す蟹井は、熊手を誘います。二人は就職せずにアルバイトをしながらゲームを作り続けますが、うまくいきません。熊手は、蟹井とうまくいかなくなっていることを感じ、また、バイト先での自分の力の活かし方を知り、蟹井と組むのをやめ、アルバイト先で正社員になります。
蟹井は一人でゲームを作り続け、パブリッシャーに持ち込みもしますが、ダメ出しをされまくります。
ある日蟹井は部屋を去って行った熊手に電話をし、ゲームをプレイしてアドバイスしてほしいと伝えます。熊手は了承しますが、当日、職場の都合で蟹井の部屋に行けません。そのとき、蟹井は、自分だけ居場所が無いのだと悟ります。
ある日熊手が蟹井を心配して部屋を訪れると、部屋の窓が開いたまま蟹井の姿はありません。
そこにはゲームが残されています。ゲームには本音と、熊手ともう一度やりたいというメッセージが込められていました。
そしてエンドロールで、このゲームそのもののクリエイターが、蟹井と熊手であったことが分かります。
エピソードが足りない
学生時代、全国のコンテストで優勝したシーンは挟まれます。また、ファミレスでした会話など、楽しかったことのかけらくらいは描けています。しかし、一瞬で終わるシーンであり、そのことが「楽しかった」こと、「特別だったんだ」ということが、まったく深掘りされて描写されていません。なので、「学生時代」と「卒業後」の対比がうまく描けていません。
作中作の是非
このゲームは、「BLOCKS」という作中作が登場します。ドット絵のアクションパズルゲームです。
このゲームはおそらく、蟹井が熊手がいなくなったあとにただひたすら自分が作りたいものを作った結果のゲームだと思われます。そしてその最終ステージには、熊手に対するメッセージが込められていました。
ゲームボリュームの半分がこのゲームです。なのでこの作中作自身もゲームの大切な要素だと思いますが、うーん。
蟹井は死んだのか
死んだような描写になっていますが、真偽のほどは分かりません。と言っていると、最後のオチが↓↓↓
最後のオチ
最後のオチは、「このゲームそのものが作中作だった」ということです。エンドロールを見ていくと、現実の蟹井さんと熊手さんが、このゲームを作ったのだということが最後にわかります。
またこのエンドロールの後に、本物の蟹井さんと熊手さんのやりとりが少しだけ描写されます。
もちろんこのゲームはフィクションなので、このエンドロールそのものがフィクションである可能性もあります。最後も、「蟹井さん」と「熊手さん」という架空の登場人物がやりとりをしているのかもしれません。
でも、それって尚更寒くないですか?
総括
説得力がまったく無かった。大きな原因はここまで書いてきた通り、エピソードの掘り下げ不足です。
同じテーマ、作り方でも、ボリュームをもう少し大きくしてエピソードを深掘りし、話に説得力を持たせるべきだったのではないかと思います。あとやっぱり最後のオチはゲームをさらにつまらなくしていると思います。
1,200円なのに過度に期待をしていたのが悪いとも思いますが、エンディングまで2時間もなく、文芸部の中学生の新人が書いたレベルの話の唐突さと浅さはかなりがっかりでした。