理不尽に集められたほうかごがかり。
1巻と2巻の感想は↓↓
ついに、二人になってしまった啓と菊。啓は惺がしようとしていたことを全て引き受けると、また、すべての無名不思議の担当になると太郎さんに決意を語る。すると、太郎さんが「ほうかごがかり」をサボっている「最後の一人」由加志の存在を聞く。啓と菊は由加志の元を尋ね、由加志がどのようにしてほうかごがかりの始まりを拒否しているのかなどをしる。
そうしてもう一人の仲間を得た啓と菊。啓が「すべての無名不思議を絵に描く」と決めたことについて、「狐の窓」で菊は手助けをする。しかしあと一日で完成するというときになって……
いやーきゃーやめてー。と思いつつ、啓と菊の腹の座り具合に読者の腹も座ってきて、「最後まで見届けてやるよ」という気分になってくる。結果的に啓だけ生き残る(厳密には由加志も生き残っている)のは2巻の途中から自明だったが、本当にそうなってしまうとただただ寂しい。
神様の国。恐ろしかった。啓と一緒に自分も閉じ込められてしまうという恐怖にかられる。
そして太郎さんの正体、ネチ太郎の正体がわかってきて、これは続刊に期待だけど、もうこれ以上無邪気な子どもたちが確実にほぼ全員死ぬ話を読むかは分からない。
この作品が、初めから全部啓視点だったなら、こんなに苦しい気持ちにはならなかっただろう。そう言う意味では視点移動は成功している。急に視点変わるけど。視点が変わって、気持ちとか境遇とか行動とか、さまざまなことに共感、感情移入させられてからその人物が殺されるので結構しんどい。
さいご、菊と由加志と母ちゃんの見事な連携で啓は生かされる。このことの意味を啓は一生覚えているんだろう。普通ほうかごがかりは、かかりが終わると記憶が薄れて忘れていくそうだけれど、1巻の冒頭、3巻の終わりを見るに、どうやら覚えている「元かかり」として存在していそう。続刊では助ける立場として出てくるんだろうと思われる。
なんか太郎さん(多分ネチ太郎)のことも救ってあげてほしいよねえ、3巻まで読んだ身としては。
そういうわけで、苦しいけれども大変面白い小説だった。ぱちぱちぱちぱち。
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カリスマになった
— mah_ (@mah__ghost) 2024年9月14日