東京開成学校を卒業した重吉は、同じく東京開成学校で学んでいた林忠正に誘われ、パリに着いた。忠正はパリで日本美術の販売を行っており、そこの事業に呼ばれたのだ。パリは二人にとって憧れの地だった。
グーピル商会で働いているテオは、しかし、グーピル商会で取り扱うような絵画を好きになれないまま過ごしていた。それより彼は、パリで忌避されている、新興の「印象派」のような絵に命を感じた。
テオにはフィンセントという兄がいた。フィンセントも初めはグーピル商会で働いていたが、各国を転々とするうちに落ち込みがちになり仕事ができなくなる。
やがてフィンセントは絵を描くようになる。その絵は、テオの心を熱くした。「これまでに見たことがない絵」。
重吉とテオはひょんなことで知り合い仲良くなった。テオは重吉や忠正にもフィンセントの絵を見せて……
<ネタバレあり>
もう涙腺が崩壊した。後半三分の一はとにかく泣きっぱなしだった。
フィンセントの孤独さが、心臓に深く突き刺さってこれを書いている今でも抜けない。
フィンセントとテオは二人とも思い合っている。側から見たら、フィンセントがテオを一方的に搾取しているようにも見えるかもしれないが、テオはフィンセントの弟であり、親友であり、ファンであった。
フィンセントは自殺し、あと追うようにしてテオも精神科の病院で腎臓の病気をひどくして死んでしまう。
悲しすぎる。フィンセントのとてつもない孤独感。しかし、アルルで描いたような生命の躍動も心に秘めている。
もう少し待てば、絵が売れたかもしれないのに。そうすれば未来は違ったのかもしれないのに。
でもきっとそうじゃないんだろう。たとえ絵が売れたとて、フィンセントの孤独さは癒されず、むしろ一層強まったのではないかとすら思える。
どうすればハッピーエンディングの世界線に辿り着けたんだろうと思うけれど、結局おそらく無理なんだろうなと言う結論に至る。悲しい。
テオが辛かっただろうなと思う。フィンセントが自殺したのが自分の銃だったし、心のどこかでフィンセントを疎ましく思う気持ちもあったから余計に罪の意識を大きくした。フィンセントは37歳、テオは33歳で死んでしまった。二人ともわたしより若い。まだこれから未来があったのに、なんて言わない。
フィンセント・ファン・ゴッホの絵を、じっくり見てみたいと思った。テオが惚れ込んだ、忠正が見出した、そんな絵だ。
↓Xやってます↓
手持ち金が500円しかない。明日どこかで下ろさないとならない。
— mah_ (@mah__ghost) 2024年10月18日
↓Blueskyがお気に入りです↓
今日はオットゥーンの出社日だから、カフェにでも読書に行こうかしら。
— mah_ (@nagainagaiinu.bsky.social) 2024-10-18T00:25:39.633Z