燃え殻のエッセイ。
過去のこと、過去に過ぎ去って行った人たちのこと、今につながること、今思うこと。
などなど、燃え殻の飾らない文体と姿勢で語られるさまざまな記憶は、誰もの心の隙間にすっと入り込んで寄り添ってくれる。そんな気にさせられるエッセイ。
燃え殻には覚悟も諦めもあって、それが絶妙。
自分のような道を歩いてきていると、このような人生には辿り着けない。まず制作会社に勤めないし、メンタルもたないし、小説家デビューもできない。ホステスの家に転がり込まないし、ホームランバットで人と知り合ったりしないし、偽の記憶を量産もしない。
額に米と書かれた燃え殻さんが家に帰って泣いてしまったとき、お婆ちゃんが「大人になってその話をすればモテるぞー」と言って額の文字を拭いてくれる話がとてもよかったけど、燃え殻さんががちのいじめられっ子でときどき挟まれる虐められ話は結構辛い。そんなばちばちのいじめ見たことも聞いたこともしたこともされたこともないので。
ドラム缶の猫のエピソードや偽の海の記憶など、、大丈夫かいなと思うほどか細いように見える燃え殻さんだけど、テレビ業界で20年以上頑張ってるんだからすごいタフネスも持っているはずだと思っていて、なのにこんなふうな繊細な心を持ってどうしようもない人生に寄り添ってくれるような文章を書いていることが面白い。
よかった。
