全5話。それぞれ、推理小説、青春小説、科学小説、幻想小説、恋愛小説だ。プラスエピローグ。
推理小説「探偵青影の現金出納帳」ではブラックジャックリスペクトの女探偵と大学生助手が、ヤクザの身内で怒った事件の解決にあたる。青春小説「イチウケ」ではある高校の同級生がM-1で高校生の間に優勝するために青春を賭ける。科学小説「FUTURE BASS」では、18歳の誕生日主人公の失踪した父の置き土産である指輪に宿された能力を使えるようになる。そしてそんな主人公の秘密を知った気持ち悪い男に追いかけられて……。幻想小説「ラクア=ブレズノと死者の記憶」では、世界を救うために一回仲間を皆殺しにしてから生き返らせたラクアが「闇界」に追放され、そこで死者を生き返らせ案内役とし、同じく「闇界」に追放されていた敵と対峙する。恋愛小説「恋と病」では、歌界を通じて知り合った男女が付き合うが、女の子にはある病がある。それを隠して付き合っていくうちにある事件が起こって……。
そして文庫版には文庫書き下ろし特別掌編が収められており、すべての物語をすべて見ていた人物がわかる。
<感想>
推理小説がずいぶん浅い(そうだったんかい!はあるけど)なと思ったのだけれど、全部の内容を読むことで「ブラック・ジャックリスペクト」の意味がわかったし、そう考えてみれば解決の仕方もブラック・ジャック的だから作者がブラック・ジャック結構読んでて結構好きなんだろうなと思った。
「イチウケ」「FUTURE BASS」「ラクア=ブレズノと死者の記憶」は、それぞれ一本の長編として読みたいくらい面白かった。
「イチウケ」は医学部受験を目指す男子と、家庭の事情で大学へは進学できないお笑い好きの女子が、女子からの「顔がちょうどいい」「関西弁を喋るのがあんただけ」という理由によるもうアプローチでコンビを組むのだが、少しずつ前に進んでいく感じがとてもよかった。ただの他人だった二人がとてつもない信頼関係を築いて、M-1予選に臨んでいく。書かれていない部分の努力を思うと、自分が本当に恥ずかしくなる、自分は高校時代にこんなに努力をしたことがあったか(勉強以外)とか思うと本当にかなしくなる。ラストもとてもよかった。
「FUTURE BASS」はラストのセリフが最高。
「ラクア=ブレズノと死者の記憶」は結構世界観を読者が補完しながら読まないと意味がわからないので、その想像して読んでいくことがとても楽しかった。「闇界」が他の話における現実社会で、とうぜんつながっていて、読み返しちゃう。
そう、二度読み(部分読みでも)必至。ああ、ここが繋がって、ここがこうなって、これってこういう意味だったんだ、えーここで?みたいに読み進めて行って、エピローグを読んで「え、まじ?」で終わる。
文庫版特別掌編が必要だったのかどうかは、きっと読む人によると思う。わたしの中では、んーなくてもよかったかなー?とか思いつつ、でも嬉しい話なのであってもよかったかな。
これを読むことによって話の主旨ががらりと変わったりはしない。けれど、まあどっちでもって感じかな。
でも面白かった。本屋でジャケ買いしたのだけれど当たりだった。大変面白い。これからも読みたいと思った。
わたくしからは、以上です、
