最初は自分が絶望していることに僕も気づいていなくて。前作の『META』以降に発表した楽曲が溜まってきたので、そろそろアルバムを作ろうとなった時に、はじめは"初期衝動"みたいな荒々しさをテーマにしようと思ったんですけど、いまいちしっくりこなくて。そんな時に、2021年にmui(ピノキオピーの個人レーベル)として独立以降、一緒に制作を行っているディレクターから「"絶望"が根幹にあるのでは?」と言われて、腑に落ちたんですよね。収録曲の中で一番古い「アポカリプスなう」(2023年8月18日配信)は、"地獄でも「普通」を愛していたいわ"と歌っていますし、なるほどと思って。そこからアルバムのテーマが決まって、タイトルは"地獄"や"冥界"を意味する『UNDERWORLD』になりました。
わたしまずこれ読んで、ピノキオピーが「絶望している」って口に出してくれたことがすっごいすっごい嬉しかった。
だってわたしもずっと絶望してて、それは病気のせいじゃなくてそれ以前からそうだったのだし、病気じゃなくてもこの世で生きてくのって絶望とともにずっとあると思っていて。
なのになんでみんな楽しそうなんだろう、なんでみんな元気なのだろう、みんなは絶望してないのかな、絶望する方がおかしいのかなってずっとそんなふうに思ってきたから(もちろん、絶望しててもうそ元気の人もたくさんいると思うけど)。
そして、絶望の中でさらに自分は病気を持っているから死に倒そうとしてしまうこともあるんだけど、絶望の中でも前を向いて、歯を食いしばってやっていかなくちゃならないってことは本当の本当に思っていて、そんななかで大好きなピノキオピーが「絶望してるのは一人じゃない。一緒にやっていこう」という気持ちで曲を作ってアルバムにまとめて発表してくれたのが嬉しすぎた……っていうお話。
絶望ポルノって言われてると書いてあって、いやピノキオピーのこれまでの楽曲聴いてればピノキオピーが再生数稼ぎに思ってもない曲書くわけないだろちゃんと歌詞まで読めよいままでと伝えたいこと変わらないやろって思うんだけど、表面的に見るとアルバム「META」の後の曲が若干露悪的に見えなくもないのは分かる。
そうならざるをえない世界ってことなんだろう。
アルバム「ラヴ」収載の「ノンブレス・オブリージュ」。
これの延長線上にあるアルバムな感じがする。インタビューでも少し触れられていたけれど、そう、この曲より少し能動的になんとか前見てやっていこうぜ!ってのが違うところなのかなと思った。
特に好きな曲は、「アポカリプスなう」「愛属性」……とか書こうとして全曲好きだわってことに喫驚した。強いて言えば「t氏の話を信じるな」が直接的すぎるかな。これインタビューだと漫画家さんの話には触れられてたんだけどこっちには触れられてなかったので書くと、この曲って参院選の時期にリリースされた曲で、ちょうどNHK党の立花が若者の支持を集めかけていた時期があって、その立花の「t」だと思って「あれ、政治的なこと言い出したのかな」と思って少しびっくりした。
違った。いや違くなくて別に政治的な立場を表明してもいいんだけど、ピノキオピーがやるかな?って疑問には思ったので。
すごい明るいキャッチーな曲が無くて、コアなファン向けになってる気もするけど、ちゃんと曲を聴いている往年のファンはみんな好きなアルバムになったんじゃないかな。というか、ラヴとかMETAとかで離れたファンっていると思うんだけど(確実に)、そういう人たちにこそ聴いて欲しいアルバムだと思う。ピノキオピーはピノキオピーのまま絶望も隠すことなく一緒に向き合って一緒に頑張って生きていってくれてるぜって。
「僕なんかいなくても」という曲が収録されている。
泣くんで。
ピノキオピーの決意表明であるとともに、リスナー全員へのエールでもあるこの歌。「やらなくちゃそれでも」。これわたしめちゃくちゃ思うんだ。
ノルウェイの森の確か直子からの手紙に「生きてる人間は生きていかなければならない」みたいなことが書いてあるのを見てからずっと思ってたんだ。直子は死んじゃうんだけど、でもそういう気持ちを持っていた。それでも死んじゃう人もいるんだよ。でも死んじゃう人も、死にたい人も、「生きてる人間は生きていかなければならない」ってどこかでわかっていて、自分の中のそういう気持ちがこの曲の「やらなくちゃそれでも」とつながって大変泣けました。はい。
他の曲もとにかくよかった。わたしは42歳のおばさんですけど、そんなおばさんが絶望がとか生きなくちゃとか、若い子から見ても年長者から見てもバカらしく映るかもしれないですけど、そこにも絶望を感じますけど、とにかくピノキオピー生まれてきてありがとうと毎回思うけど今回強くそう思いました。
このアルバムをありがとう。