ストロベリーナイト(誉田哲也)

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された! 警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは? クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。

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面白かった。どんどん謎が提示されて、どんどん線が繋がって、どんどん解決しながらにして新たな謎が提示されて、どんどん解決されていく。結構暗い動機なのに軽くてサクサク読める。

ミステリに読み慣れていて作者と勝負しているような読者なら中盤くらいで親玉は分からなくても犯人がどうでっていうのはわかりそう。わたしは、えーうーあーじゃああれは?ほーまじで!はぁみたいな感じだった。面白かったという意味なんだけれど。

キャラクターが全員立って活き活きとしているのだが、その誰にも共感できない。のに最後までノンストップで読み進めてしまい、最後には井岡が好きになっている(これは多分全員そう)物語だった。不思議だ。

ガンテツが医師に「あんたがあのとき話してくれてればーーーやーーーは死ななくて済んだんだよ」というのが「いや聞き方!」とか思いながらでもこれって倫理と倫理の争いだよなあと思う。医師には患者を命や健康を守る義務や使命があり、警察には市民の命を守る義務や使命がある。どっちが重いかでいったら、「本当に死んでしまう」ことが起こった時の結果論で、そのときそのときによって異なる結論になるだろう。こういう話って大学の倫理学の授業とかで取り扱われそうだけれどどうなんだろう。

それにしてもこの姫川シリーズが全11作あるらしいけど、別に読みたくならない。ストロベリーナイトは確かに面白かったのに。ガンテツが嫌い過ぎて……威圧的で自分が正しいと思ってる人苦手なんだよな。まあそれだけキャラをよく描けてるということで(丸く収めた)。

誉田哲也武士道シックスティーンがすごく面白かった。セブンティーンも読もうかな。ってそれはまた別の話。