2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【読書感想】あの人と短歌 / 穂村弘

歌人の穂村弘が、作家やらモデルやらと対談し、主に短歌について語りまくる本。対談相手は、北村薫(作家)、酒井順子(エッセイスト)、三浦しをん(作家)、清家雪子(漫画家)、高橋英里(小説家)、知花くらら(モデル・女優)、金原瑞人(翻訳家)、文…

2024年上半期読んで超面白かったオススメ小説7選

2024年も上半期が終わる。長いようで短い、早いようでゆっくり、いろいろと形容のしようはあるが、とにかく上半期が終わる。 そこで、今年の1月から6月までに読んだ小説(50冊)の中で、文句なしにおすすめしたい小説をまとめておきたい。尚、これはあくまで…

【駄文散文 #4】星を見る

Xをやっていると満月を楽しむ人がかなりいることに気づく。Xをやっているからこそ満月に気づく人が多く、結果的に満月を楽しむ人が多く見えるんだろう。満月もこんなにバズる日がくるとは思わなかったに違いない。SNSの次は人はどんなものを生み出していくの…

【読書感想】出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと / 花田菜々子

夫と別居することになった著者が、出会い系サイトで申し込みがあった人と軽くお茶しながら話したりしてその人を深掘りし、本をおすすめしまくった記録。出会い系サイトと言っても、出会いを異性との恋愛目的に限定していない、さまざまなバックグラウンドの…

【歌集感想】たやすみなさい / 岡野大嗣

大好きな岡野大嗣の第二歌集。 たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意 ということらしい。 この人の持つ孤独感の輪郭みたいなものがすごく好きだ。どうしてこんなに寂しいのだろう。寂しさを主題にしているわけでもなさそうな歌…

【歌集感想】シンジケート / 穂村弘

知らぬ間に、穂村弘の歌集の新装版が出ていたので読んだ。実は穂村弘の歌集を読んだのはこれが初めてだ。短歌の作り方とかの本はいくつか読んだが、歌集そのものを読むことがあまりなかった。なぜかは分からないが、まあ機会が無かったのだろう。友達(とい…

【駄文散文 #3】 40歳行き詰まり説

再三再四述べているが、わたしは無職だ。無職歴は5年だか6年だかでもう年季が入っている。無職になった契機は病弱になってしまったことだけれども、これだけ長い間社会と関わらずに生きたことがないので、無駄に焦りがでてきてしまう。 引きこもりでも別にい…

【展覧会】森美術館へ行ってきた(花とゆめ展 [6/30まで]/ シアスター・ゲイツ展 : アフロ民藝[9/1まで])

ついに関東も梅雨入りしたらしい。しかしやることは変わらない。行くのだ、見たいものをこの目で見るために! 六本木ヒルズへ。 というわけで六本木ヒルズ。今更感のある写真をアップしているがわたしは六本木ヒルズ来訪が二度目か三度目なので個人的には今…

【駄文散文 #2 】犬を洗う

犬を飼っている者の使命として犬の清潔を保つことがその一つに挙げられる。もちろん、カットの必要もある犬を飼っている人やお金が有り余っている人はトリミングに出して綺麗にしてもらうかもしれないが、そうでもない中産階級及びそれに類する民は自らでそ…

【読書感想】死体埋め部の悔恨と青春 / 斜線堂有紀 , 死体埋め部の回想と再興 / 斜線堂有紀

あるとき英智大学新入生の祝部は、大学の帰り道で襲ってきた男を逆に殺してしまう。そこに織賀というやはり英智大学の学生が現れ、助けてくれると言う。織賀の車のトランクに死体を詰め、後部座席に乗り込むと、隣の座席にはまた別の死体が乗せられていて…… …

【駄文散文 #1】たとえばyoutuberになること

わたしは無職でしかもちゃらんぽらんな記事を書くので年相応の落ち着きを見て取れないと自分でもはっきり自覚しているのだが、実は40歳、ジャスフォーだ。段々と人生の折り返しに近づき、というかほぼ折り返しでしかも無職でこれから一体どうしたらいいのか…

【読書感想】スター / 朝井リョウ

映画サークルに所属する尚吾と絋は在学中にある映画賞を授賞する。尚吾は小さい頃から祖父に連れられさまざまな映画を観てきた。その一方で絋は島出身で、映画館などなかったので映画を観たことがなかったが、美しいものを撮るのが好きだった。卒業後、尚吾…

【映画感想】かがみの孤城

中学生一年生ののこころは、学校でいじめにあい不登校。ある日自宅にいると、自室の鏡が光、その中に入るとそこは、「おおかみさま」が案内人となるかがみの中の世界、かがみの孤城だった。集められた7人の中学生。鍵を見つけた一人だけが願い事を叶えられる…

【読書感想】熱帯 / 森見登美彦 の感想とちょっとだけ結末考察

あるとき小説家森見登美彦は、かつての同僚に誘われて「沈黙読書会」という読書会に参加する。「謎」の本を持ち寄り、その謎について話し合う、しかし、謎を解決してはならないという、それこそ謎の読書会だ。そこで白石さんが持っていた「熱帯」という本、…

【読書感想】1984 / ジョージ・オーウェル

党局員のウィンストン・スミスは、党による支配について疑問を抱いている。二重思考などによってさまざまな感情を呼び起こされるが、基本的には、世界は革命前より良くなっていると信じていないし、間違っていると思っている。それは彼の仕事にも関わってい…

【週報】今週の読了本一言感想とリンク

今週は少し体調が悪くて&賞に出す短歌を考えたりして、あまり本を読めなかった。三冊。全て小説。 裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル 異世界で女の子が二人が危険な目にあいつつもいろいろ探索したりしていく。ネットロアを下敷きにしたストーリー…

【6月23日(日)まで】どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより / 東京ステーションギャラリー に行ってきた

どうぶつ分を人はときに欲する。なぜかは分からない。しかしそれは古来からある欲求だろう。人は縄文時代から、犬を飼っていたのだ。犬に限らず、人はどうぶつと共に生きてきた。農業、畜産といった実用的側面だけでなく、見せ物であったり、愛玩したり、あ…

【読書感想】裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト / 宮澤伊織

裏世界ピクニックのシリーズ第2作。 1作目の感想はこちら。 nagainagaiinu.hatenablog.jp 裏世界に行くことができる主人公空魚と鳥子は、今度は裏世界に取り残された米軍を助けに行くことにする。グリッヂを見ることができる空魚の能力のおかげで米軍を首尾…

【読書感想】AX アックス / 伊坂幸太郎

殺し屋シリーズ第3作。 兜はひどい恐妻家。表の顔は文具メーカーの営業職だが裏の顔は純然たる殺し屋。家族のためを思って殺し屋家業から足を洗おうとするが、仲介役の「医師」からそれを却下され続けている。 渋々依頼をこなす中で、昼間に知り合った知人と…

【読書感想】裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル/ 宮澤伊織

異世界とそこで出会う怪異にまつわる連作短編集。 ひょんなことから異世界(裏側、裏世界)に入り込むことができるようになった主人公空魚のピンチから話は始まる。空魚は同じく裏側に入ることができる鳥子によって助けられ、なんとか生き延びることができる…

まぼろしスイマー(岡田奈紀佐)

まぼろしスイマー(岡田奈紀佐) 岡田奈紀佐さんの作品集。都会的でどこか客観的な短歌の中にときどき見える深い傷跡みたいなものが読者にも刺さる。世界を突き放しているのに欲しているというか。 少し感想。 手放したものに手向けるためでなくただ飾るため…

永遠の美術館初心者が国立近代美術館「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」を観てきた

唐突に話を始める。先月角川武蔵野ミュージアムへ遠征し、ダリの展示を観てきた。あの展示を鑑賞した人の多くがみんな「いやそうじゃない」と感じたことだと思う。「学芸員もっと頑張ってくれ」と何度も思った。そう、美術館、博物館の展示には学芸員の方の…

【読書感想】あなたへの挑戦状 / 阿津川辰海・斜線堂有紀

それぞれの作家が書いた中編のミステリが二編収載されている。本の表紙をめくると封筒が挟まっており「*256ページまで読んでから、開封してください」と書いてある。読者は、これが自分への挑戦状なのだろうと思って読み進めていくことになる。 阿津川辰海「…

【読書感想】カラスの親指 by rule of CROW's thumb / 道尾秀介

詐欺師武沢はこの数ヶ月、テツとコンビを組み仕事をしていた。テツは鍵のトラブルを扱う店を営んでいて、あるとき武沢の家の鍵に細工をして騙そうとしたのを武沢に見抜かれる。武沢はテツを警察に突き出すのではなく、コンビを組んで一緒に詐欺を働くように…

小説集 Twitter 終了(青井タイル、足立いまる、乙宮月子、根谷はやね、九科あか、斜線堂有紀)

2022年10月にイーロン・マスクが twitterを買収したのは記憶に新しい……わけでもないな結構昔だ。とにかく現実の世界でそういうことが起こった。従業員の多くがリストラされるか自らtwitterを去り、サ終(サービス終了)するんじゃないかと界隈に緊張が走った…

フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人(佐藤友哉)

鏡公彦はあるとき、自殺した妹佐奈が三人の男に強姦されていたという事実を知る。その密告者は犯人の名前と所属、さらにその娘・孫たちの名前と所属とその行動表を公彦に渡す。それを受け取った公彦は……また並行して突き刺しジャックの犯行は続く。明日美は…

沼田愛を全開にして読む「令和元年の人生ゲーム」(麻布競馬場)

「第1話 平成28年」「第2話 平成31年」「第3話 令和4年」「第4話 令和5年」の四話からなる物語。各話で主人公が異なり、一人の人物だけが一貫して登場する。ので実際はこの人物が主人公ということになるだろう。 第1話は地方から慶應大学に入学した意識の高…