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歌集・作品集

【作品集感想】ごあいさつ / 岡部杏里

岡部杏里さんのファースト作品集。見開きで四首、計百首が掲載されている。 めちゃくちゃよかった。 多くの単語をひらがなに開き、平易な言葉で誰にでもわかるように、しかし誰でも簡単に切り取れるわけではない感情を歌にしているという印象を受けた。 「ご…

【歌集感想】グラウンドを駆けるモーツァルト / 千葉聡

最高だった……。 高校教師の作者による短歌連作とエッセイを収録した作品。青春の迷い人だった時代から始まり、高校教師となり奮闘する。これでいいのかとずっと自問自答しながら。 元小説家志望ということも関係があるのかは分からないけれど、物語を読んで…

【歌集感想】あかるい花束 / 岡本真帆

第二歌集。 元彼なのか、思いを明かさずにいた男友達なのか、何人かの男の子が出てきたように読んだのだけれど、あれは全部は同一人物じゃないと読んでいて(時系列で書いてあればだけど)、恋とかをしたことが遠い昔すぎて、そういう気持ちになったっけかと…

【歌集感想】念力ろまん / 笹公人

衝撃だった…… 短歌は基本的に書き手の一人称と思われることが多い。かつて新人賞で父の死をテーマにした連作があって、本当は父が生きていて死んだのは祖父だったっていう事実を、ベテランに激怒されたみたいなものも読んでいた。だから自分も、作者の一人称…

【歌集感想】水中翼船炎上中 / 穂村弘

一番最近の穂村弘の歌集。章ごとに時間軸が異なる。現在、子供時代、子供時代(冬)、子供時代(夏)思春期へのカウントダウン、昭和の終焉から21世紀へ、21世紀初頭のパラサイトシングル像、母の死、その後、その後、再び現在。 スカした感じがなくなったと…

【歌集感想】石蓮花 / 吉川宏志

塔短歌会主宰らしい。塔には入るか検討した。まあそれはいいや。ちょっと若い人or若い頃の短歌から離れた歌集も読もうかと思って手にした一冊。 お母さんの面倒を見て、看取るところが、自分の父ちゃんを看取ったときのことを思い出して泣きそうになった。 …

【歌集感想】ひとさらい / 笹井宏之

笹井宏之の第一歌集。重度の身体表現性障害の笹井宏之にとって、短歌とは希望だったのだろうなと思う。周りにあるあらゆるものが、それが美しいものであれ楽しいものであれ、すべて自分の身体に跳ね返ってきてしまう。何もかもが生きることの重しになる。絶…

【歌集感想】老人ホームで死ぬほどモテたい / 上坂あゆ美

この歌集は全然思っていたのと違っていた。想像の真逆で、重く、苦しい短歌が多かった。タイトルからしてサラリとしているのかと思ったのだけれど、いやでもこれタイトルも重いな、内容知ってから読むと。ザ・ノンフィクション見てるみたいだった。 ++++…

岡野大嗣の歌の感傷はどこからやってくるのか考えてみた

以前こんな記事を書いた。 nagainagaiinu.hatenablog.jp わたしの趣味の一つとして短歌を挙げたいのだが(願望形なのは下手すぎるから趣味と言っていいのか悩ましい)、自分が作る以外にも当然人の作った短歌を読むのも好きなのだ。そして、現存する歌人でも…

【週報 6/24-6/30】今週の読了本の一言感想とリンク

この週報書いたり書かなかったりなのだが、今週というか先週分からちゃんと書くのを習慣化したいと思う(決意) 今週(先週)はほぼ短歌に関わる本を読んでいたようだ。 シンジケート / 穂村弘 歌人の穂村弘の第一歌集。1980年代を思い起こす、おしゃれで都…

【歌集感想】たんぽるぽる / 雪舟えま

各界に好きな人が多い雪舟えまの「たんぽるぽる」をついに読んだ。言葉の感じが好きだと思った(語彙力)。何が好きなんだろう、あんまりまだ言語化できていない。やわらかい言葉遣いの中にときどきドキっとするような鋭さがあったりして。女性っぽさが苦手…

【歌集感想】ラインマーカーズ / 穂村弘

穂村弘の自選短歌集。穂村弘は他の著作で読んだ限りだと、本人曰く、かっこつけて短歌を作っているところがあるらしい。確かにかっこつけてるのかなと思うものもある。ただでもただただ巧いなと思う。わたしなんかがそんなこと言っても説得力も何も無いが、…

【歌集感想】たやすみなさい / 岡野大嗣

大好きな岡野大嗣の第二歌集。 たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意 ということらしい。 この人の持つ孤独感の輪郭みたいなものがすごく好きだ。どうしてこんなに寂しいのだろう。寂しさを主題にしているわけでもなさそうな歌…

【歌集感想】シンジケート / 穂村弘

知らぬ間に、穂村弘の歌集の新装版が出ていたので読んだ。実は穂村弘の歌集を読んだのはこれが初めてだ。短歌の作り方とかの本はいくつか読んだが、歌集そのものを読むことがあまりなかった。なぜかは分からないが、まあ機会が無かったのだろう。友達(とい…

まぼろしスイマー(岡田奈紀佐)

まぼろしスイマー(岡田奈紀佐) 岡田奈紀佐さんの作品集。都会的でどこか客観的な短歌の中にときどき見える深い傷跡みたいなものが読者にも刺さる。世界を突き放しているのに欲しているというか。 少し感想。 手放したものに手向けるためでなくただ飾るため…

たべのこし(岡部杏里)

文フリで購入してきた一冊。2023年の冬の文フリに合わせて作られた作品集「ごあいさつ」に載せられなかったうたを集めたというもの。なるほどだから「たべのこし」だったのか。ふむ。 短歌自体はすごく読みやすい。普段短歌を読まない人が読んでも心に届く物…

文学フリマ東京38に参戦してきたので購入品など

曇天。テクテクたくさん歩いて開場10分前に流通センターに到着、雨。15分ほど並んで開場入りすると、混んではいるものの動けないほどの混雑だった前回前々回に比べればかわいいものだ。おそらくは有料化のおかげだろう。当たり前だけど人混みはとても疲れる…

【週報】先週と今週読んだ本とちょっとした感想

「窓際のトットちゃん」「君のクイズ」「うれしい近況」「音楽」「冒険者たち」「そして、バトンは渡された」

岡野大嗣にハマったのだという話をする回

岡野大嗣にハマったきっかけの短歌などをつらつらと語る回。