裏世界ピクニックのシリーズ第2作。
1作目の感想はこちら。
裏世界に行くことができる主人公空魚と鳥子は、今度は裏世界に取り残された米軍を助けに行くことにする。グリッヂを見ることができる空魚の能力のおかげで米軍を首尾よく導いていくが、また一波瀾あって……
さらにその後のリゾート中の怪異、大学の後輩が相談を持ちかけてきた怪異、などのストーリーを超え、最終話はストーリーが一気にググっと進む。裏世界の研究を秘密裡に行なっている民間団体の人間と接触を持った二人が、冴月の消息の手がかりを探るため研究所の見学に行く。そこでは、空魚と鳥子のように裏世界でその物質や現象などに触れた第四種接触者がさまざまな様態に変容して、保護、治療されていた。冴月が残したノートは暗号のようになっていて解読が不能だったのだが、それを鳥子に言われた空魚が青い目を使って見てみると……
地の文が空魚の話し言葉みたいになるところがあって、スピード感がそこで少し加わって、そういうバランスの良さが好きだなと思う。
正直沖縄編、カラテカ編はなんだか中弛みしたかなというか、結局ネットロアと同様の怪異が現れて一悶着あって超ピンチだけどなんとか潜りにぬけて生還する、みたいのが繰り返されるだけなのかな……と思っていたが徐々にストーリーは進んでいく。各話で冴月の影が見えてきて、最終話ではすさまじい恐怖を目の当たりにする……のに空魚はこれからまた裏世界を探索することを思う。
++++
空魚は鳥子が超絶好きで独り占めしたいわけなんだけれども、鳥子はその気持ちは知っていつつも、冴月の存在が大きい。冴月が自分以外の人間に裏世界のものを「お守り」だと言って渡していたこと、自分の他にもコンビを組む人間を複数人探していたことなどを知り、鳥子にとってつらい状況が続く。冴月に関する鳥子と小桜の感傷は無視しようと決めている空魚であっても、その様子は見ていてつらいものがある。自分が大好きな鳥子が、自分じゃない誰かを思ってつらくなっているのを見るのは、それもまたつらいものだろう。
鳥子の言うように、空魚は決して悪い人間じゃないし、むしろ実は面倒見がいい。それを空魚は「裏世界からいなくなってほしかっただけ」と説明するが、そうだとしても現実にいろんな人を救っている。米軍、カラテカ、小桜。シリーズ第9作まで出てるので鳥子が死ぬわけはない&ここで殺しても話として別に面白くないという理由から、鳥子が死んだっぽくても死んだわけないよなとは思っていたが、やはり生きていた。当たり前だ。ここで殺しても話としても別に面白くないのだ。
にしても、わたしが人に固執するタイプじゃないので空魚の気持ちがあまりよくわからない。鳥子にとって自分より大切な人がいるなら、別に離れればいいじゃんとか思ってしまうが、それはあまりに淡白すぎか。てか空魚にとっては初めての友達だから、大事か。そりゃそうか。
さあさあ物語が動いてきた。でもシリーズ9作目まであるからまた少しずつしか進まないのかなとかも思ったり。ネットロアそのものにはあまり興味がないので、話が進行してくれると助かるのだがー。
というわけで、3作目も読もうと思います。
↓Xやってます↓
3億時間寝た。何億時間も寝れる。
— mah_ (@mah__ghost) 2024年6月14日
↓bluesky好きです↓
わたしも書店で10,000円使う企画に呼んで欲しい(一般人)
— mah_ (@assa-ghost.bsky.social) 2024-06-14T08:02:33.992Z