【映画感想】かがみの孤城

中学生一年生ののこころは、学校でいじめにあい不登校。ある日自宅にいると、自室の鏡が光、その中に入るとそこは、「おおかみさま」が案内人となるかがみの中の世界、かがみの孤城だった。
集められた7人の中学生。鍵を見つけた一人だけが願い事を叶えられると言われる。
そうして7人の子供たちは……この世界とは……

原作を読んでいたので、内容は覚えていたが、映画もよかった。あんまり中弛みなしで最後までしっかり観ることができた。
クライマックスに向けて少しずつ物語が進行して、最後ぐぐぐぐっと物語が動いて、一気に緊張感が押し寄せて、一人一人の物語の断片(回想)。アキつらい。泣く。
そして狼様の正体。そこからのエンディング。

ということで、リオンかっこよかったすね。違うか。いや違わない。

 

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序盤で嬉野が他の6人からうっすら馬鹿にされてるのが、残酷で現実だった。でもそのことに、嬉野の勇気のおかげでみんなが気づいて、本当にお互いに助け合える存在になっていく。のに現実世界ではなぜ助け合うことができない。政宗はこれを、パラレルワールドなんじゃないかと考える。が、違う。

7人の現実世界がパラレルワールドじゃなくて時系列が違うということは、話の食い違い具合なんかでなんとなく分かったけれど。こういうふうに物語がつながるのね、と優しい気持ちになれる。嬉野と風歌よかったね。政宗も昴もよかったね。アキもリオンも、こころも。みんな成長していって。

こころのお母さんも最初どうしていいか分からないといった態度がこころにはつらいんだけど途中からしっかりこころの味方になってあげてて、結構優しい世界だった。理解のない大人が担任池田しかいない。あ、でもアキの世界で保健室にいるときに養護教諭が困った顔して見て見ぬふりして仕事しているのとか、時代を表していて細かい点だけどよかった。

しかし、この孤城を生み出しているのは誰なんだろう。いやリオンの姉なんだけど、ドールハウスにそっくりなんだし。でもそれならなぜルールを設けたんだろう。ゲームマスターが他にいるんじゃないだろうか、もしかしたらそれを運命と呼ぶのかもしれない。そしてリオンの姉は、そうした過酷なルールを敷いてでも、もしかしたらみんなと遊びたかったのかもしれないね、1999年に雪科第五中に行きたかった一人の中学生として。リオンと一緒に学校に行きたかった一人のお姉ちゃんとして。

そして元の世界で、記憶は失うかもしれないけれど、みんな助け合って生きていく。未来のアキとの出会いを経て、こころは学校へ戻るし。政宗や嬉野もきっと未来のアキとの出会いによってそれぞれの新しい場所へチャレンジしていくし。
で、リオンだけ記憶を残して元の世界に帰り、こころの願いが直接的に叶うんだよな。こころだけ叶っていいのかなって思ったりもするけど、他の子たちも叶ったのかもね。わからないけど。アキの記憶は残っているっぽかったのかなあ。

それにしても最初に、「狼と7人の中学生」というところで、この中学生たちは狼様がいう「赤ずきんちゃん」じゃなくて「羊」なんだって気づかなければならないのだが、わたしはアホなので気づかなかったのであった。

 

余談だけど、高山みなみに「真実はいつもひとつ!」と言わせてて面白かった。

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