「人生オークション」と「あめよび」の2作からなる短編?中編?。
表題作である「人生オークション」ではとある事件を起こし離婚して引っ越した叔母さんの家の片付けを主人公が手伝うことになる。1K五万八千円の家賃の家にはキャリーケースや段ボールが40個以上詰め込まれ、もう眠るところもないほどだった。
主人公の瑞希はりりこ叔母さんがなかなか重い腰をあげないところ少し手伝ったらヴィトンのバッグをもらった。そのバッグをバイト先へ持って行くと、ブランド好きのバイト仲間に叔母さんのお古であることを話す。後輩の麻実に聞くと、ヤフオクでなら結構根がつくんじゃないかと言うことだった。そこで、瑞希はりりこ叔母さんに提案して、もう必要のないものをヤフオクで売って行くことにして……
「あめよび」では、主人公は眼鏡店につとめているが、最初に就活で入社したIT会社のきつくて退社した。その頃なかなか眠ることができず、ラジオを聞くようになる。ラジオのイベントで出会ったハガキ職人のサンシャイン・ゴリラとイベント後の打ち上げで打ち解け、付き合うようになる……
<感想>
どちらもとてもよかった。前向きな終わり方の「人生オークション」ともやもやした読後感の「あめよび」。
「人生オークション」では、おばさんが最後セカストとかにいっぺんに衣服を売るのではなく、最後の最後売れなくなるまでヤフオクにこだわり、質問のやりとりや値段の交渉などを行って一つ一つを梱包して、相手を評価し評価されて行く。そんな過程の中で、本当に必要だったものを知るんだけど、これ明言されてないんだけど、叔母さん多分愛されたかったんじゃないかな。元旦那はいいやつみたいに書かれてるけど、そうだったらこうはならなかったんじゃないかな。そんなことを思った。
また、普段メルカリなどでやり取りしている画面の向こうの人にもこういうドラマがあるのかもしれないと思うとちょっと楽しい。
最後、接近禁止令とかれているとはいえ、不倫相手の夫婦をつけて「もう大丈夫だから」と言おうとした叔母さんはやっぱちょっとぶっとんでるけど、それだけ白石さんのこと愛してたんだよねえ。もしかしたら片思いだったのかもしれないけれど、本当には。相手にとってはただの遊びで。
「あめよび」は、なんかしょうがなかったかなあ。実家の環境が良くなかったから結婚したくないって言う人は一定いるし、だからって責任取りたくないとかそういうことではないのよねえ。その一方で美子は結構結婚に対する憧れが強くて、愛してればいずれ結婚するというのを当たり前と思いすぎてる。輝男をあまり尊重できてない。
最後美子が相談サイトで結婚相手を見つけて商社マンゲットしてオーストラリアの赴任についていく、妊娠している中で、たまたま空港で輝男と出会い話をする。ほとんど意地で態度を硬化させたままの美子に、輝男は自分の諱(いみな、戸籍に乗せるのとは別の本当の名前、結婚相手にしか教えない)を伝える。それは、以前美子が知りたくて知りたくしかたなかった言葉で、欲しくて欲しくてしかたなかった態度だったが、時はすでに遅い。輝男はこのあと独身を貫くのかわからないけれど、要するにもう結婚した妊婦の美子に、叶わないプロポーズを今更したと言うことなのだと思うけれど、まあズルい笑
眼鏡屋をやめないでほしかったというのはわたしも同感で、美子はこの先幸せに生きていけるのかなとか思っちゃった。輝男と比べない?輝男に未練残らない?でもそれも含めて生きて行くことなんだろう。生きて行くことの中に結婚を組み込んじゃってる人はどこかで、本当に愛した人とは結ばれずにまあこの辺かなで決めた人と結婚したりするんだろう。
どっちが幸せ。知らん。わたしは好きな人と結婚できたからな(えへん)。
でもわたしが美子だったらもっと理詰めで攻めそう。「結婚しないと連帯保証人になれないんだよ、入院する時も連絡先にできないんだよ、手術の説明も受けれないんだよ、死んでも連絡来ないんだよ」とか。
原田ひ香は「ランチ酒」しか読んだことがなかったけど、結構しっかしりした小説書けるんだなあと思い直した。面白かったです。人生オークションドラマ化か映画化しないかなー。エピソード足したり視点変更増やせばいけると思うんだけど。結構そのくらい面白かった。
わたくしからは、以上です。
