「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」の6作からなるミステリ短編集。
「夜警」では、部下の川藤が殉職してしまった柳岡。柳岡は、川藤のことをはじめから警察官に向いていないと思っていたが、かつて部下に教育をしているつもりが追い詰め、自殺させてしまったこともあり、川藤にはあまり強く当たることができずにいた。そんなある日…
「死人宿」では、2年前交際中に失踪した佐和子の居場所がわかり主人公はその宿へと向かう。宿へ着くと作務衣を着た佐和子が仲居として出迎えてくれた。叔父の経営する旅館なのだが、その宿は、死にたい人たちの間で評判の「死人宿」だった。
「柘榴」では、美しく生まれたさおりは、大学時代同じゼミの佐原成海と出会う。ゼミでは成海をめぐって死闘が繰り広げられ、沙織はついに成海を手に入れる。学生のうちにできちゃった結婚をした二人は、夕子、月子の二人の子宝に恵まれ、さおりはいたく愛した。しかし成海は大学卒業後も定職につかず……
「万灯」では、主人公は東京の大学を卒業し、商社へ入社、海外勤務の希望が叶い、インドネシアに赴任した。その後、バングラディシュに赴任し、資源開発の仕事を行なっていた。気候や風土も難物で、部下の一人にひどい怪我を負わせてしまい心に負担もあったが、開発のための策略を計り……
「関守」では、来田^の主人公が小田原から3時間ほどのドライブインを訪れる。ドライブインはおばあさんが一人で営んでいる。ここへきたのは「都市伝説系」の記事を書くためだった。ここの峠は事故が多く、そのことを記事にしようと訪れたのだが……
「満願」では、20歳の冬火事で下宿を叩き出された藤井が、知人の伝手で下宿人を募り始めたばかりの鵜川家に住まうようになった。鵜川家は畳屋を営んでおり、家屋は店と住まいを兼ねていた。藤井は法学生で司法試験の合格を目指して勉強に励んでいる。
<全体の感想>
重厚感がある。どれも重たい。どれも怖い。クオリティが半端ない。
<ネタバレあり>
<夜警>は、川藤の、兄や同僚からの人望のなさにちょっとウケた。でもこういうその場しのぎで生きてる人結構いると思うけど、やっぱ警官には向いてないね。
<死人宿>は、解決したと思ったら別の人が死ぬ。丸田さんだけじゃなく、死にたい、死のうと思って泊まる人だろうな。そこで働ける佐和子も狂気じみているし、そっち側にいってもおかしくないんではないかとか考えた。
<柘榴>はキモい。天然のジゴロの話。さおりは相当気の毒だけど、これはもう宿命的で仕方ないと思った。そうかー、天然のジゴロは娘までも籠絡するのかと怖気がした。
<万灯>は、いや資源開発って難しいなと思った。調子いいこといってめちゃくちゃ搾取しているだけだしな。ちょっと日本人として色々考えさせられた。あ、日本人じゃないや……。そしてこういう始末の付け方って本当にあるんかね。ありそうでこわい。ちょっと軍隊的だよな、商社ってこんな感じなのかな。結構ドキドキしながら読んだ。
<関守>は、途中から半分オチがわかってたんだけど、でもしかしめちゃくちゃばあさんが怖かった。けどこれ検死で気づかれないのかね、狙った通りに頭を強打するかわからんし、峠で事故に見せかけたとて。しかしこういう峠ってありそうでほんとこわい。
<満願>は、殺人を犯してまで守りたかった家宝というのが、わたしの世代ではもうわからないのではないかと思った。怖いわ。
