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【読書感想】君の顔では泣けない / 君嶋彼方

第12回小説野生時代新人種受賞作。

まなみはある人に会いにいくため、夫と子どもを置いて新幹線にのる。その相手は、高校のクラスメイトの坂平陸。まなみと陸は、高校一年の夏、あることがきっかけで身体が入れ替わってしまっていた。

それ以来今に至るまで一度も元の身体に戻れたことはない。

それだけに強い葛藤があった。相手のことを思うと余計なことはできない、身体を傷つけたり損なうことはできない。一向に元に戻れないことに苛立ちをつのらせたりもする。

やがて大学生になって二人は……

 

<ネタバレあり>

入れ替わりもの読んだことないけど、面白かった。陸がまなみを最良の形に保とうと努力するのがいじらしかった。15年経っても、当たり前だけど互いに対するなんとも言えない感じは残っている。Side Mにもあったし。

人の身体を代わりに使っていると考えればわたしも、自分を大切に扱えるのかも知れないと今思って、いやそれはそれで別の病気になりそう笑

まなみが陸に適応し、大学進学の時、陸の父が死んだ時、「それぞれで生きていく」と話す(そして喧嘩別れする)が、それはどんな気持ちで言ったんだろう。諦めなのか、それとも自分で自分を奮い立たせたかったのか。きっとどちらもそうなんだろう。

身体を傷つけたり損なったりすることはできない(自分を大切にする)とか、死の恐怖とか、入れ替わっているからこそ浮き彫りになるその感情や思考は、しかし誰しもが持っているものであり、それを入れ替わりを通じてありありと描けていてよくできている小説と思った。SideM読むともっといろいろ考えさせられる。