先日Netflixで話題の「地面師」というドラマを見た。流行に乗ったのである。大変面白かった(語彙力)。
主人公辻本拓海(綾野剛)が地面師になった理由は割と序盤で分かったのだけれども、そうだから苦しかったし、「そうじゃないだろ」とも思った。それに、とにかくもうひとりの主人公ハリソン山中(豊川悦司)の演技が怖すぎてやばかった(語彙力)。あんなサイコパスをあんなふうに演じれるなんて、本当にいい役者だなあと……ってそんな上から見れませんよ怖すぎて目を逸らしちゃいましたよ、沖縄の一連。ひゃー。
まあそういうわけで、ドラマを見たのをきっかけにして、森功の書いたノンフィクション「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」を読んだ。
本書では大きく6つの事件を7章立てで取り上げている。
地面師とは何か、地面師はどのように詐欺を働くのか、地面師が逮捕されても釈放されてしまうのはなぜなのか、どうして大企業が騙されてしまうのか。「地面師たち」の事件の元となった、積水ハウスの事件も最初にとりあげられている。
2016年ごろには地面師詐欺がかなり横行し、100件を超える被害があったそうだ。
この地面師詐欺は、逮捕されたとしてもあくまで「詐欺罪」なので、数年の懲役をくらうだけで、釈放されたらロンダリングされたマネーが数億とか待っているわけなので、全然ペイする。だから無くならない。
ドラマでは石洋ハウスが、土地の買収に頓挫し、すぐに代替の土地を探さなければならないということからあーだこーだあって詐欺に引っかかってしまう。実際の事件でも、本を読んでいる限り「いや気づけよ」とか「いやもうちょっと調べようよ」とか思ってしまうものだったのだが、引っかかってしまうのよねえ。
中では、免許の偽造の精度が悪いもの、表記のおかしいパスポート、言い間違えた干支、などなどもあるのだが、それをただの勘違いとして済ませてしまうということだ。正常性バイアスも働いているのかもしれない。
そしてドラマでも言われていたが、関係者を逮捕しても、不起訴となることが多い。証拠不十分などで釈放されてしまうのだ。決して他人のことも口外しない。そのことが次の信用に繋がる。
などなど、超興味深いことがたくさん書いてある本だった。ドラマで「地面師」に興味を持った人は一読してみると、「ああなるほどー」と理解が深まるし、見ていない人はこれを読んでから「地面師たち」を観ると、本書の内容を思い出して展開から目が離せずドキドキすることだろう。
ま、あんなにバンバン処さないようだけど。というか処すと懲役がかさむし、2人以上処すと死刑も見えるので。ハリソンはやばい。